ドライバーでハンドファーストとハンドレイトはどちらが正解か？

こんにちは、ゴルフクラブインサイツを運営しているK・Kです。

ドライバーショットでハンドファーストを意識したほうがいいのか、それとも少しハンドレイト気味に構えたほうが飛ぶのか……正直、迷いますよね。

「レッスン書にはハンドファーストが正解って書いてあるのに、ドライバーだけうまくいかない」「スクールではハンドレイト寄りと言われたけど、本当に自分に合っているのか分からない」といった相談を、私もレッスン現場やメッセージで本当によく受けます。

そもそもハンドファーストとは何なのか、ハンドレイトとは何なのか、その違いがあいまいなまま、レッスン記事や動画で見たハンドファーストのインパクトやハンドファーストアドレスを真似してみた結果、逆にスライスがひどくなったり、飛距離が落ちてしまった……という声も少なくありません。

一方で、ハンドレイトのすくい打ちが癖になっている方は、デメリットばかり気にして「全部ハンドファーストに直さないとダメだ」と考えてしまい、構えもスイングも一気に変えすぎて調子を崩してしまうことがあります。

そうなると、それまで打てていた球まで打てなくなって、「結局、何が正しいのか分からない…」という状態で止まってしまうんですよね。ハンドファーストはなぜ必要なのか、ハンドレイトは本当に間違いなのか。ネット上でも意見が分かれていて、どれを信じればいいのか分かりづらい状況だと思います。

実際には、ハンドファーストを意識しすぎてスライスに悩んでいる人もいれば、ハンドレイトによるすくい打ちをどう直せばいいか知りたい人もいて、スタートラインは人それぞれです。

「アイアンはハンドファーストでいい感じなのに、なぜドライバーだけミスが出るのか」「練習場ではナイスショットなのに、本番になると右に吹けてしまう」といったギャップも、多くの場合はハンドファーストとハンドレイトのバランスが少しズレていることが原因だったりします。

この記事では、どちらか一方を否定するのではなく、両方の考え方にきちんと触れながら、ハンドファーストとハンドレイトの違いを整理していきます。そのうえで、あなたのスイングタイプにとって現実的で再現性の高い「ちょうどいい答え」を一緒に探していけたらと思っています。

ハンドファーストの練習方法を知りたい方も、ハンドレイト気味のインパクトをあえて武器として活かしたい方も、まずは「どこを変えるべきで、どこはあえて変えなくていいのか」を整理するところから始めましょう。

あなたが自信を持ってアドレスに入れるように、クラブの特性やインパクト条件の話も交えながら、できるだけ噛み砕いてお話していきますね。「この部分、気になるな」と思ったところから読んでもらって大丈夫です。

理論の話がちょっと苦手な方でも、実際のアドレスの形、簡単なセルフチェック方法、今日からできるドリルまで順番に紹介していきますので、読み終わるころには、自分なりの答えがスッと見えてくるはずです。

 

ドライバーのハンドファーストとハンドレイトの基礎

最初の章では、ハンドファーストとハンドレイトそれぞれの意味や違い、特にドライバーショットにおける最下点とボール位置との関係、スライスやすくい打ちの原因を整理していきます。

ここがあいまいなままだと、どんな練習をしても効果が出にくいので、土台づくりだと思ってゆっくり確認していきましょう。「いきなり球筋を変える」のではなく、「インパクトの形を理解する」ところがスタート地点です。

ハンドファーストとハンドレイトの意味と違いを解説

まず、私がレッスンでいちばん最初に確認するのが、ハンドファーストという言葉のイメージです。多くの方は「とにかく手元を前に出すこと」とざっくり理解しているのですが、ゴルフクラブの構造やスイングメカニズムの観点では、もう少し丁寧に定義しておいたほうが安心です。

ここがぼんやりしていると、真面目な人ほど「やりすぎて逆効果」という状態になりやすいんですよね。ハンドファーストとは、インパクト付近でグリップエンドがクラブヘッドよりも目標方向側に位置している状態のことです。

アドレスでほんの少し手元を左太もも側に置く形も、広い意味ではハンドファーストアドレスと言えますが、本当に大事なのは「インパクトの瞬間にヘッドより手元が先行しているかどうか」です。

つまり、アドレスの見た目だけを整えても、ダウンスイングでほどけてしまえば、インパクトはハンドレイト寄りになってしまう、ということですね。

アイアンでは、ハンドファーストとはロフトを少し立て、クラブの最下点をボールより先にすることでダウンブローを作りやすくする、という意味合いが強くなります。ボールの先のターフが薄く取れていれば、まずハンドファーストは合格点と思ってもいいくらいです。

一方でドライバーはティーアップして打つクラブなので、アイアンと同じノリで強いハンドファーストをそのまま当てはめると、ロフトが立ちすぎて打ち出し角が足りなかったり、スピンが多くなって失速したりと、別の問題が出てきます。

ここで混乱しがちなポイントが、「アイアンで正解とされる形を、ドライバーにもそのままコピペしてしまうこと」です。アイアンのハンドファーストは「ボールを上からつぶす」イメージが強いですが、ドライバーは「下からなでる」成分も欲しくなります。

ですので、ハンドファースト時のインパクトは、あくまで「アイアンより弱い、結果としてそうなっている程度」が現実的なラインかなと感じています。対してハンドレイトは、インパクト付近でグリップがボールより右側（飛球線と逆方向）に残っている形です。

これはロフトを寝かせる方向の動きになり、アイアンだとダフリやトップ、すくい打ちの原因になりがちですが、ドライバーではこの「ロフトを使う動き」が高弾道やフェードを打つときの武器にもなります。

つまり、ハンドファースト＝常に正義、ハンドレイト＝常に悪ではなく、クラブごとの役割とショットの目的によって「どちらをどのくらい使うか」が変わる、というイメージが大事です。

この章では、まずこの「意味の整理」をしっかりやっておくことで、後半の具体的な打ち方やドリルがすっと頭に入ってきやすくなるはずです。「言葉の定義から見直す」のは地味ですが、スイング迷子から抜け出す近道ですよ。

ハンドレイトはすくい打ちの原因なのか？

次にハンドレイトの話です。ハンドレイトとは、インパクト付近でグリップがボールよりも右側（飛球線と逆方向）に残っている形を指します。アイアンでこの形が強く出ると、いわゆるすくい打ちになりやすく、ダフリやトップ、スピンの多い高いだけの球が増えます。

「ボールを上げたい」という気持ちが強いほど、無意識にハンドレイト方向へ動きやすいので、アベレージゴルファーには本当に多いパターンです。

ドライバーではティーアップしているぶん、多少のハンドレイトは許容範囲になりやすいのですが、問題は「意図せずハンドレイトが強くなってしまうケース」です。代表的な原因は、

• 右足体重のまま振ってしまい、体重が左に乗りきっていない
• ダウンスイングで手元を先行させようとせず、ヘッドを振りにいく意識が強すぎる
• フェースをまっすぐに戻したい意識が強く、リリースが早くほどけてしまう
• ボール位置だけ左にずらして、スイング軌道や最下点はそのままにしている

こうした要素が重なると、ハンドレイトすくい打ちが習慣化してしまいます。特に、ドライバーハンドレイト正解というフレーズだけを切り取って、「とにかく手元を後ろに残したほうがアッパーブローになる」と極端に解釈してしまうと、結果的にミスを増やす方向に働きやすいです。

「悪いハンドレイト」と「使えるハンドレイト」

ハンドレイト＝悪、と決めつけてしまうと、上達のチャンスを逃してしまいます。実は、バンカーショットやロブショットでは、意図的なハンドレイトが必須テクニックです。

ドライバーでも、コントロールされたフェードボールや、高い打ち出しでキャリーを稼ぎたいときには、「ごく弱いハンドレイト」が結果として出ていることが多いです。

違いはシンプルで、こんなイメージです。

「体は止まって手先だけ動くハンドレイト」はすくい打ちの原因ですが、「体重は左、体も回りながらロフトを使っていくハンドレイト」は武器になります。この差を理解しておくだけでも、自分のスイング動画を見たときの視点がかなり変わってきますよ。

ドライバースイングの最下点とボール位置

ドライバーでハンドファースト必要かどうかを考えるときに、私が必ずセットで確認するのがスイングの最下点とボール位置です。ここを外してしまうと、どれだけ形を整えてもインパクト条件が安定しません。

逆に言うと、この2つがある程度そろっていれば、多少ハンドファースト寄りでもハンドレイト寄りでも、大きなミスにはつながりにくくなります。

基本的な考え方として、ドライバーのボール位置は左かかと付近、もしくは左脇の真下あたりがスタートラインになります。そして、スイングの最下点はボールの少し手前からボール付近にあるイメージです。

そのうえで、インパクトの瞬間にヘッドがややアッパーブロー気味に動いているのが理想的な軌道です。ここまで聞くと「なんだか難しそう」と感じるかもしれませんが、イメージとしては「ボールの少し手前がいちばん低くて、そこからヘッドが少しだけ上がり始めたところで当たる」という感覚です。

ハンドファーストが強すぎると、最下点が左にずれすぎて、インパクトが強いダウンブロー寄りになりがちです。その結果、打ち出し角が低く、スピン量が多い「強いけど飛ばない球」になってしまいます。

一方、ハンドレイトが強いと、最下点がボールのかなり手前になり、すくい打ちからのテンプラや、上がるだけで前に進まない球が増えていきます。

ちなみに、クラブメーカーのテストや弾道計測のデータでは、ドライバーの最適な打ち出し角とスピン量の組み合わせが細かく分析されています。

たとえば、PINGのテストでは、ボールスピードやアタックアングル別に「高めの打ち出しとやや低めのスピン」を推奨するチャートが示されていて、プロの平均値とも近い結果になっています（出典：PING Proving Grounds「Optimal Launch and Spin」）。

こうしたデータからも、ドライバーでは「ほどほどのアッパーブローで、強すぎないハンドファースト」が現実的な落としどころだと分かります。

あなた自身の最下点やボール位置をチェックするには、スマホで真横からスイングを撮ってみるのが手っ取り早いです。ボールの位置に縦線を引き、その前後でヘッドがどこを通っているかを見るだけでも、かなりヒントが得られますよ。

ハンドファーストのスライス要因を整理

次に、ハンドファーストによるスライスのパターンを整理しておきましょう。これはレッスン現場でも本当によく見るケースで、ハンドファーストを頑張って作ろうとした結果、スライスが増えて悩んでいる方が多いです。

「ハンドファーストに構えれば、フェースが返りすぎないから曲がらない」という情報だけを信じてしまうと、逆に右へ右へと曲がる球が増えてしまうこともあります。

代表的なパターンは、

• アドレスで手元を強く前に出しすぎている（左太ももよりもかなり左）
• その形をキープしようとして、体の回転より腕の動きを優先している
• 切り返しで上体が先に開き、クラブが遅れて下りてくる
• インパクト直前に「やばい、右に出そう」と感じて、手をこねて修正しようとする

この流れになると、インパクトでフェースが開いたまま当たりやすくなり、プッシュスライスや右への吹け上がりが多発します。さらに厄介なのは、「右に出るからもっとハンドファーストを強くしよう」と考えてしまい、負のループに入ってしまうことです。

つまり「ハンドファーストの意識」自体が悪いのではなく、「手だけでハンドファーストを作ろうとすること」がミスの原因になっているケースがほとんどです。

スライスを減らすためのチェックポイント

ハンドファーストによるスライスを減らすために、私がよく使うチェックポイントをいくつか紹介します。

• アドレスで、グリップエンドが左太ももの内側〜中央にあるか（左腰より前に出ていないか）
• トップから切り返した瞬間、手ではなく左腰が先に動いているか
• ダウンスイングで、クラブシャフトが右肩の前を通って下りてきているか（外からかぶっていないか）
• インパクト直前に「慌ててフェースを返す」動きが出ていないか

この中でどれか一つでも引っかかるなら、ハンドファーストの作り方を少し見直したほうがいいサインです。特に、アドレスで手元を出しすぎているパターンは本当に多いので、鏡やスマホのセルフ撮影で一度確認してみてください。

下半身リードと体の回転がしっかり機能していれば、強く意識しなくても「弱いハンドファースト」に自然と収束していくケースが多いです。

逆に、手元の位置だけをいじっている間は、一時的に良くなっても再現性が上がらないことが多いので、焦らず「動きの順番」から整えていきましょう。

ハンドレイトによるフェードや弾道の特徴

一方で、ドライバーはハンドレイトが正解という言葉が語られるのは、フェードや高弾道を狙いたい場面です。ティーアップされたドライバーは、アイアンに比べてあえてロフトを使っていく余地があるので、上手く使えばハンドレイト高弾道メリットを享受できます。

「ドローで曲がりすぎるから、もう少しコントロールしたい」「キャリーを増やしてランを抑えたい」という悩みを持つゴルファーには、非常に有効な考え方です。

具体的には、

• ハンドレイト寄りの構えにすることで、ダイナミックロフトを増やしやすい
• インパクトでフェースをやや開き気味にキープすることで、コントロールされたフェードが打ちやすい
• アッパーブロー軌道と組み合わせると、高くてキャリーの出る球になりやすい

という特徴があります。ただし、ハンドレイトすくい打ちに陥ると、意図したフェードではなく、単なる右スライスや当たり負けの弱い球になってしまうので注意が必要です。

「フェードを打つ＝ハンドレイトを最大限強くする」ではなく、あくまでニュートラルな手元位置から、ほんの少し右に残る程度をイメージしてもらうと、やりすぎを防ぎやすくなります。

フェードを打つときの実践的なイメージ

私がよく使うフェードのイメージは、

• スタンスを狙いより少し左に向ける（オープンスタンス）
• フェースは狙い方向か、わずかに右を向ける
• 手元は「ど真ん中」よりほんの数センチ右寄りに残す
• スイング軌道はスタンスなりに振り抜き、フェースは大きく返さない

といった形です。このときのハンドレイトは「すくい上げるため」ではなく、フェース面をコントロールするための手段というイメージですね。結果としてダイナミックロフトも少し増えるので、高めでキャリーの出るフェードボールを打ちやすくなります。

まずは、通常のショットとの違いを動画で確認しながら、小さなスイング幅から試してみてください。「あ、いまのは良いフェードだな」と感じるショットのときの手元の位置や体の感覚をメモしておくと、自分なりの「使えるハンドレイト」の範囲がだんだん見えてきますよ。

ドライバーのハンドレイトとハンドファーストの最適解

ここからは、ハンドレイトとハンドファーストをどう使い分ければいいのか、実際のアドレスやスイングの中でどこまで意識すべきかを、実践的な視点でまとめていきます。

アドレスの手元位置、振り遅れや手首のコック、下半身リードとの関係を整理しながら、あなたなりの最適解を見つけていきましょう。「理論は分かったけど、結局どう構えればいいの？」という疑問を、この章でできるだけ具体的に解消していきます。

ハンドファーストのアドレス位置調整

まずはアドレスの話から。ドライバーの場合、私は「ごく弱いハンドファースト」か「ほぼスクエア」を基準にするのが現実的だと考えています。

ここをアイアン並みに強いハンドファーストにしてしまうと、多くのアマチュアにとってはハードルが上がりすぎるからです。特に、ヘッドスピードがそれほど速くない方ほど、ロフトを立てすぎないほうが結果が良くなりやすい印象があります。

具体的には、

• ボール位置：左かかと付近（左足かかとの内側〜外側の間）
• グリップ位置：左太ももの内側〜中央あたり
• シャフト：ほぼターゲット方向に対して垂直に近い、もしくはほんの少しだけ目標方向に傾く程度

このくらいのハンドファーストアドレスであれば、インパクトで弱いハンドファーストになっても、アッパーブローの邪魔をしすぎません。逆に、アドレスから極端なハンドファーストを作ろうとすると、

といった「逆効果」が出やすくなります。あなたも、アドレスでは頑張っているのに、動画で見るとインパクトで手元がボールより後ろにある、という経験はありませんか？ それはまさに「作りすぎたハンドファーストがほどけている」状態かもしれません。

アドレスを整えるための簡単チェック

アドレス位置を整えるために、私は次のようなチェックをおすすめしています。

• クラブをお腹の前で両手で持ち、そこから左足の付け根の前までスッとスライドさせる
• その位置で、シャフトが地面に対してほぼ垂直か、ほんの少し目標方向に傾く程度にする
• 鏡やスマホで真横から撮影して、手元が左太ももの外側に出ていないか確認する

この「許容範囲」が自分で分かってくると、緊張した場面でも構えがブレにくくなります。

ですので、ドライバーハンドファースト必要かどうか迷ったら、アドレスはあくまで「ほぼニュートラル」からスタートして、スイング全体の流れの中でインパクト形状がどうなるかをチェックしてみてください。

もし飛距離をもっと伸ばしたいというテーマが強い場合は、打ち出し角やヘッドスピードとの関係も含めて、ゴルフのドライバー飛距離を年代別に整理した記事も役立つと思います。

年齢やヘッドスピードごとに、どのくらいの打ち出し角が現実的かをイメージしながら、アドレスの形を微調整していくのがポイントです。

ハンドレイトによる高弾道で飛距離アップのメリット

次に、ハンドレイトによる高弾道で飛距離アップになるメリットをどう活かすかです。ドライバーはもともとロフトが小さいクラブなので、ある程度ロフトを使ってあげたほうがキャリーを出しやすいケースも多くなります。

特にヘッドスピードがそこまで速くないゴルファーにとっては、「低スピンのライナーを目指す」よりも、「少し高めの打ち出しでキャリーを伸ばす」ほうが、トータル飛距離が伸びることが多いです。

その意味で、わずかにハンドレイト寄りのインパクトをうまく使えると、

• 打ち出し角が確保しやすく、キャリーが増える
• ティーアップをやや高めに設定しても、上からつぶしすぎない
• アッパーブロー軌道を維持しやすくなる

というメリットが期待できます。特に、もともとボールが低くてラン頼みになっている方には、かなり大きな変化が出やすいですよ。

やりすぎないための目安とドリル

とはいえ、ここでも注意したいのは「やりすぎないこと」です。ハンドレイトが強くなりすぎると、ダイナミックロフトが増えすぎてスピン量が過多になったり、フェースが戻りきらずに右プッシュが増えたりします。私の感覚だと、

練習としては、

• 通常のアドレスから、グリップをほんの少しだけ右にスライドして構え、ハーフショットで高さと方向性をチェックする
• ティーアップをいつもより高くし、「フェースの上目でとらえる」意識で打ってみる
• 9番アイアンやウェッジでロブショットの感覚を練習し、「ロフトを使う」感覚を身につける

といったメニューがおすすめです。こうしたドリルを通して「ロフトを使っても大丈夫」という感覚が育ってくると、ドライバーでもハンドレイトを恐れすぎず、上手に高弾道を打ち分けられるようになってきます。

振り遅れ改善は手首のコックがカギ？

ハンドファーストを意識したときに多いのが、振り遅れの悩みです。「手元を前に出そう」と頑張った結果、クラブが後からついてきてしまい、インパクトでフェースが開くパターンですね。ここでは、振り遅れと手首コックの関係を整理しておきます。

振り遅れが起きているスイングをスローで見ると、

• トップでコックが不足している、もしくは方向がずれている（シャフトが寝ている）
• ダウンスイングで上体から開いていき、クラブが後から追いかける形になる
• インパクト直前で、手先でフェースを合わせにいく動きが入る

という流れになっていることが多いです。対策としては、

こうした意識を持つと、結果的に自然なハンドファーストインパクトに近づきます。ここでも大事なのは、手だけでハンドファーストを作ろうとしないことです。

コックの方向とタイミングを整えるドリル

具体的な練習としては、次のようなドリルが有効です。

• 右手一本ハーフスイング：右手だけでクラブを持ち、トップで右手首を甲側に折る→その角度をキープしたまま腰の高さまで下ろす、をゆっくり繰り返す
• 9時〜3時ショット：時計の9時から3時までの振り幅で、コックを保ちながら体の回転でボールを押し込む感覚を覚える
• インパクトバッグ練習：バッグに対して、手元が先行した状態で当てる感覚を反復し、「当てにいかない」動きを身につける

慣れてきたら、通常のスイングの中で「トップでコックを作る→切り返しで下半身リード→インパクトで自然なハンドファースト」という流れを意識してみてください。

動画を撮って「手が先に動いていないか」「クラブが遅れて下りてきているか」を確認すると、振り遅れ改善の進捗が分かりやすいですよ。

下半身リードと体重移動の関係

ハンドファーストとハンドレイトを語るうえで、避けて通れないのが下半身リードと体重移動の話です。ここが整っていないと、どれだけアドレスの形を工夫しても、インパクトが安定してくれません。

逆に言うと、「手や腕の意識を少し減らして、下半身中心に考える」と、ハンドポジションの悩みがまとめて軽くなることも多いです。

理想的な流れを簡単にまとめると、

• バックスイングでは右足内側に体重を乗せる（右膝が外に流れないように）
• 切り返しで左足への体重移動を先行させる（左かかとへの踏み込み）
• 腰と胸が回転し、その後を追いかける形で腕とクラブが下りてくる

この順番を守れると、インパクトでは自然と左足体重が強くなり、手元がヘッドよりわずかに先行した弱いハンドファーストの形になりやすくなります。

一方で、右足体重のままボールに突っ込んでいくと、ヘッドが先行してハンドレイトになり、すくい打ち寄りのインパクトになってしまいます。

下半身リードがうまくいかないと感じる場合は、素振りや片足立ちドリルなどを使って、まずは「踏み込む→回転する」という順番を体に覚えさせていくといいですよ。特におすすめなのは、

• クラブを持たずに、左足への踏み込みと腰の回転だけを繰り返す体操
• 右足一本で立ってバックスイングの形を作り、そこから左足に踏み込む感覚を確認するドリル
• ボールを打たずに、フィニッシュまでしっかり回りきる素振りを10回セットで行う

こうした動きがスムーズになってくると、自然と右足体重のまま打つ癖が減り、「勝手に手元先行のインパクトになっている」という状態に近づいていきます。

ハンドファーストかハンドレイトかで悩む前に、一度「下半身リードできているかな？」という視点で自分のスイングを見直してみてください。

結論：ドライバーはハンドファーストかハンドレイトか

最後に、ドライバーハンドファーストとドライバーハンドレイトについて、ここまでのポイントを一度整理しておきます。ここはまとめパートなので、ぜひ一息つきながら、自分のスイングに当てはめて想像してみてください。

• • ハンドファーストは、手元がヘッドより目標方向にある状態で、アイアンでは基本形、ドライバーでは「弱いハンドファースト」が現実的なライン
  • ハンドレイトは、手元がボールより右側に残る形で、高弾道やフェードを打つ武器にもなるが、やりすぎるとすくい打ちや右ミスの原因になる
  • ドライバーでは、強いハンドファーストと強いハンドレイトのどちらかを選ぶというより、「ほぼニュートラル〜弱いハンドファースト」「状況に応じたわずかなハンドレイト」を使い分ける感覚が大事

• どちらの形を目指すにしても、下半身リードと体重移動、手首コックの方向が整っていないと、インパクトは安定しない

ドライバーハンドファーストかドライバーハンドレイトか、という二者択一の問いに、絶対的な正解はありません。ただ、私がレッスンで多くのゴルファーを見てきた中で言えるのは、「どちらか一方を強く意識しすぎた人ほど、ミスをこじらせやすい」ということです。

大事なのは、「自分の今のスイングがどちら寄りなのか」を把握したうえで、少しずつニュートラルに近づけていくことかなと思います。

まずは、あなたの現在のインパクトが「どちら寄りなのか」「どれくらい強いハンドファースト（またはハンドレイト）になっているのか」を、動画や弾道の傾向から冷静にチェックしてみてください。

そのうえで、ここで紹介した考え方やドリルを少しずつ取り入れていけば、無理なく自分に合ったバランスに近づいていけるはずです。